ときおり窓から涼風が……。この夏も冷房無しで乗り切れそう。(哲




20100830句(前日までの二句を含む)

August 3082010

 動物園の汽車ではじまる流離の秋

                           境田静代

い子供といっしょに、動物園の汽車に乗ったのだろう。まだ秋とは名ばかりの暑い日盛りのなかだ。乗っている子供たちはみな無邪気な歓声をあげたりしていて、騒々しくもほほ笑ましい。ガタゴトと揺られている作者の目には、それでも園内に注ぐ日差しに、どことなく真夏のころとは違った趣が感じられ、本格的な秋も遠くはないことを告げられているように写ってくる。やがて、徐々に寂しい季節がやってくるのだ。これを作者は「流離の秋」と表現することにより、季節と人生双方の比喩としたのである。こんなにも楽しい時期はやがて過ぎ去ってしまい、さすらいにも似た困難で長い時間が私たちのところにも訪れてくるのだろう。類想句は探せばありそうだが、動物園の汽車から季節のうつろいを想い人生の行く手を想ったところに、作者のセンスの良さが光っている。さらば、夏の光りよ。そんな感じのほど良いセンチメンタリズムが心地よい。『現代俳句歳時記・秋』(2004・学習研究社)所載。(清水哲男)




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