20100826=20100826句

August 2682010

 雀噴く百才王の破顔より

                           摂津幸彦

頃の百才は暗い話題が多いが、これだけの年月を生き抜くのは簡単ではない。長寿の記録だけが残り当人が行方知れずであったり、死を隠されていたりというのは寂しすぎる。身分制度が厳しく着るもの、食べるもの、髪型まで制限されていた江戸時代であってさえ、百才を越した老人はそんな取り決めごとは無視してよく、農民であっても武士へ文句が言えたと白土三平の『カムイ伝』で読んだことがある。百までたどりつけば人間を超越した存在になるのだから何をしても天下御免の「百才王」というわけだろう。そうした老人が皺くちゃの顔をくずして破顔一笑するならば、その僥倖を人に分け与えるかのように沢山の雀が噴き出すとは、なんて豪勢な光景だろう。雀たちの可愛く元気なありさまを百才王の笑顔に寄せたところに愛情を感じる。『摂津幸彦全句集』(1997)所収。(三宅やよい)




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