August 19 2010
あれは夢これはよくある猫じやらし
小林苑を
ねこじやらしは子供のときからおなじみの草。愛嬌のある名前がかわいらしい。「あれは」「これは」という対比で夢と現実との距離感を表現している。夢は昨晩見た夢とも今まで自分が胸に抱き続けてきた希望のようなものとも考えられるけど、あれは夢、という呟きに遠く消え去ったものへのあきらめが感じられる。そんな頼りない思いから足元にあるねこじゃらしにふっと目がとまったとき淡く消えてしまった夢のはかなさが、より強く感じられたのだろう。かすかに風にそよぐねこじゃらしを「これはよくある」とぞんざいに扱っているようで、普段の日常への親しみをこの呼びかけに滲ませている。道端に線路際に、どんなところにも「よくある」猫じゃらしはロマンチックじゃないかもしれないけど、いつ見ても「ある」安心感がある。これから涼しくなるにつれ揺れる尻尾は金色に染まり秋の深まりを感じさせてくれるだろう。『点る』(2010)所収。(三宅やよい)
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