この季節にはこの歌を。ちあきなおみ「祭りの花を買いに行く」。(哲




20100814句(前日までの二句を含む)

August 1482010

 魚減りし海へ花火を打ちに打つ

                           沢木欣一

の句は、春陽堂の俳句文庫『沢木欣一』(1991)に、写真と共に掲載されている。彼方にうすく富士の影を置き、切り立った断崖に波が打ち寄せるモノクロームの写真、おそらく伊豆の西海岸だろう。伊豆の花火というと、熱海の海上花火大会。特に目立った演出はないのだが、広い熱海湾ならではの、どーんとお腹に響く単純な打ち上げ花火を、本当にこれでもかというほど連発するその素朴な迫力が好もしい。まさに、打ちに打つ、なのだが、こう詠まれると、そのひたすらな音と光が果てた後、どこまでも続く暗い海の、寂寥感を越えた静けさが思われる。盆行事に通じるという花火、鎮魂の意もこめられているというが、魚の減った海はまた多くの御霊の眠る海でもある。(今井肖子)




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