土用丑の日。ウナギを食すべきか否か。夕飯時まで毎夏悩む。(哲




20100726句(前日までの二句を含む)

July 2672010

 カレー喰ふ夏の眼をみひらきつ

                           涌井紀夫

さには熱さと辛さで対抗だ。冷房など効いていない自宅か海の家みたいなところでか、「喰ふ」というのだから、作者の健啖ぶりが強く示されている。何度も意識的に「眼をみひらか」ないでおくと、汗が瞼を伝って目に流れ込んできてしまう。たぶんに心理的な要素がからんではいるけれど、誰にも覚えはあるだろう。こうした何でもないような身体の動きをとらえて、暑い時間にカレーを喰らう男の元気な様子を描出すると同時に、周囲の夏真っ盛りの情景までをも読者に想起させている。なかなかに巧みな「味」のある作品だ。作者の涌井紀夫は、最高裁判事として在職中の昨年暮れに、病に冒され亡くなった。煙草はまったく喫わなかったようだが、肺癌に倒れた。享年六十七。私とは少し縁があって、1960年の京大俳句会で束の間一緒だったことがある。端正な若き日の面差しを覚えている。合掌。俳誌「翔臨」(第68号・2010年6月)所載。(清水哲男)




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