暦を見ると「大暑」。見なくても大暑。今日は終日原稿書き。(哲




20100723句(前日までの二句を含む)

July 2372010

 一雲かぶさる真夏の浜辺に村人と

                           牧ひでを

読黒田清輝の画のような平和な漁村の風景が浮ぶが、前書きを読むと様相は一変する。「広島へ四〇キロというふるさとにて原爆を受けし朝」。雲はキノコ雲であった。平和な時間を刻んでいるとしか思えない風景が実は凄惨な事実を孕んでいるというのは、まさしく近代の恐怖そのものだろう。牧ひでをさんは70年代の「寒雷」東京句会には必ず顔が見えた。楸邨の隣に座って言葉を区切りながらゆっくりと話す実に温厚な白髪の紳士であった。怒るように叫ぶように自己を表現する俳人は「寒雷」に多かったが、ひでをさんのように柔らかな言葉の語り口を持った人は稀であった。だからこそ、この句に込められた驚きと怒りの深さを思うのである。『杭打って』(1970)所収。(今井 聖)




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