July 04 2010
大揚羽教師ひとりのときは優し
寺山修司
この句の初出は昭和29年の「蛍雪時代」ということですから、高校3年生の時の作者が、初々しく詠んだ句となります。今では、教師が優しいのはあたりまえというか、優しくなければ問題になるわけですが、当時の教師像というのは、人によって差はあっても、今よりもだいぶ厳格な印象を持たれていたものです。とはいうものの、生来の人のあり方が、たかが半世紀ほどで変わるわけもありません。生徒の前ではいかめしい表情を見せていても、一人になったときには、いつもとは違う穏やかなものをたたえていたということのようです。「大揚羽」のおおぶりな書き出しが、生徒にとっての教師の大きさに、自然とつながっています。また、「ひとり」という言葉から連想されるさびしさも、きちんと「優し」には含まれていて、この教師のこれまでの人生が、妙にいとしく感じられてきます。『寺山修司全詩歌句』(1986・思潮社)所収。(松下育男)
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