認知症が進むとリハビリの意欲も失せる。父の医者の至言なり。(哲




20100624句(前日までの二句を含む)

June 2462010

 アロハシャツ似合へる夫の余生かな

                           木村たみ子

生を辞書で引くと「一生で(最盛期を過ぎて)残った命、生活」とある。いつからを余生と呼ぶのか、それを区切るのはあくまで本人だろうが、会社を退職し、毎日が日曜日という生活になじんでくるとこの言葉が実感として響いてくるかもしれない。現役時代はほとんどの時をネクタイと背広で過ごして、服装には無頓着な男の人も多い。退職して家にいるようになるとどんな格好をして過ごすのだろう。昔だとステテコにシャツのご隠居が夕涼みしている姿が定番として思い浮かぶが、団塊の世代はジーパンとスニーカーであちらこちら駆け回りそう。掲句のアロハシャツは夫自身の好みで選んだのか、家族からのプレゼントか。緑や赤の派手な模様の入ったアロハシャツを着こんで、籐椅子でカメラなどをいじっている夫。最後の「かな」の詠嘆にそのような静かな時間を二人で共有する喜びが表されているように思う。『水の音』(2009)所収。(三宅やよい)




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