アテネ燃ゆ。もはや国のための辛抱などという発想は無い。日本にも。(哲




20100507句(前日までの二句を含む)

May 0752010

 祭前お化けの小屋の木組建つ

                           橋詰沙尋

霊屋敷の木組ができあがる。木組に壁が貼られ、屋根で覆われ、その中に人間が扮した幽霊が配置され、それを観に善男善女が訪れる。木組のかたちを基点にしてやがて木組の目的や意図へ読者の思いがいたるときすっと作者の批評意識が見えてくる。この順序が要諦なのだ。皮肉も揶揄も箴言も象徴もその意図が初めから前面に出ると「詩」も「文学」もどこかに行ってしまう。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」に優れたポエジーがあると思う人はあまりいないだろう。ものに見入って、そのままを写す。そこからかたちならざる観念に到れるか否か、それは詩神に委ねるしかない。「俳句研究」(1975年11月号)所載。(今井 聖)




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