四月尽。今年はまったくもって異常な春でした。さあ、新緑の季節へ。(哲




20100430句(前日までの二句を含む)

April 3042010

 鴉子離れからからの上天気

                           廣瀬直人

の子別れは夏の季語。古くからある季語だが、あまり用いた句を知らない。鴉の情愛の濃さは格別である。春、雌が巣籠りして卵を温めている間は、巣を離れらない雌のために雄が餌を運び、雌の嘴の中に入れてやる。生まれた子は飛べるようになってもしばらくは親について回り、大きく嘴を開き羽ばたいて餌をねだる。しかし、夏が近づいてくるころ、親はついてくる子鴉を威嚇して追い払う。自分のテリトリーを自分でみつけるよううながすのである。親に近づくとつつかれるようになった子鴉が、少し離れたところから親を見つめている姿は哀れを催す。そのうち子鴉はどこかに消える。親が子を突き放す日。日差しの強い、どこまでも青い空が広がっている。「俳句」(2009年6月号)所載。(今井 聖)




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