「外電」市場。なんだと思ったら「家電」に対する「そとでん」だと。(哲




20100428句(前日までの二句を含む)

April 2842010

 葉桜が生きよ生きよと声かくる

                           相生葉留実

海道でさえ桜は終わって、今は葉桜の頃だろうか。桜の花は、開花→○分咲き→○分咲き→満開→花吹雪→葉桜と移る、その間誰もが落着きを失ってしまう。高橋睦郎が言うように「日本人は桜病」なのかもしれない。花が散ったあと日増しに緑の若葉が広がっていくのも、いかにも初夏のすがすがしい光景である。咲き誇る花の時季とはちがった、新鮮さにとって替わる。さらに秋になれば紅葉を楽しませてくれる。「花は桜」と言われるけれど、葉桜も無視できない。花が散ったあとに、いよいよ息づいたかのように繁りはじめる葉桜は、花だけで終わりではなく、まさにこれから生きるのである。「生きよ生きよ」という声は桜自身に対しての声であると同時に、葉桜を眺めている人に対する声援でもあるだろう。葉留実には、そういう気持ちがあったのではなかろうか。彼女は二〇〇九年一月に癌で亡くなったが、掲句はその二年前に詠まれた。亡くなるちょっと前に「長旅の川いま海へ大晦日」の句を、病床でご主人に代筆してもらっている。本人が「長旅」をすでに覚悟していた、そのことがつらい。他に「春の水まがりやすくてつやめける」の句もある。もともとは詩人として出発した。処女詩集『日常語の稽古』(1971)に、当時大いに注目させられた。いつの間にか結社誌「槙」→「翡翠」に拠って、俳句をさかんに作り出していた。『海へ帰る』(2010)所収。(八木忠栄)




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