April 232010
いまだ名のつかざる男の子あたたかし
小澤 實
名前をつけられ、名前で呼ばれ、言葉を教えられ、ものの名を教えられて人は常識を身に着ける。法に沿って常識は権力に都合のいいように書き換えられ規定される。右にも左にも上にも下にもはみださぬように設定された中での、倫理観やら反骨などはガス抜きに過ぎない。名前のつく前の裸の赤子に無限の可能性が詰まっている。もっとも弱きものの中にもっとも強固な変革の核がある。「俳句」(2009年5月号)所載。(今井 聖)
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