April 162010
車座も少しかたむく春の丘
長岡裕一郎
花見だろうか。丘で車座になることなどそれ以外にはあまりない。車座全体がやや傾いているというふうに思える感覚がある。平地を歩いているつもりがいつしか上り坂になっていたり、眩暈かなと思ったら小さな地震だったりする。違和感といっていいのだろうか。違和感とは不安のことだ。日常に慣れ親しんだ惰性の感覚に、どこか違ったものが入り込むのは不安であって、それこそが生の実感なのにちがいない。それは「知」で得られるものではなくて肉体を通して感じられるものである。「詩」もそこに存する。「俳壇」(1986年8月号)所載。(今井 聖)
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