父の入院費用は16日間で8万円。つまり殆んど治療は無用だったと。(哲




20100207句(前日までの二句を含む)

February 0722010

 しら魚や水もつまめばつままるる

                           鶴海一漁

しかに、しら魚の体の色は透明なのだなと、あらためて驚いてしまいます。でもそれを言うなら、水が透明なのだってずいぶん変わったことであるわけです。透明なものがこの世にあるということは、わかっているようでどこかわからないところがあります。水の中に指先を入れて、なにもないところを二つの指ではさんで持ち上げれば、それはしら魚だった、ということをこの句は詠っているのでしょうか。でも読んでいるとつい、水そのものをつまむことができるような錯覚をしてしまいます。柔らかな液体をつまむ、という行為の美しさに、一瞬うっとりとしてしまいます。目をぐっと近づけて、この句をじっくりと見つめてしまうのは、だから仕方のないことかもしれません。読者を惹きつける、目に見えないものがそっとかけられているのではないのかと。『俳句大観』(1971・明治書院)所載。(松下育男)




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