January 292010
降り切つて雪のあけぼのおのづから
蝦名石藏
豪雪の地の感慨が出ている。雪がこれでもかと連日降り続いてようやく止む。まさに「おのづから」止む体である。そして朝日が顔を出す。冬来りなば春遠からじ。朝の来ない夜はない。人生の寓意の類にどこかで転じていく働きもある。「氷結の上上雪の降り積もる」山口誓子はこの自作の色紙を企業経営者などに請われることが多いと自解に書いていた。ちりも積もれば山となるを肝に銘ぜよと社員に示すためだろう。そういう鑑賞が悪いとか良いとかいうのは当たらない。ただ、現実描写、即物把握の意図があってこその、結果としての寓意だとこういう句を見て思う。『遠望』(2009)所収。(今井 聖)
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