January 152010
蓮田出る脚こんなにも長きこと
今瀬剛一
蓮根堀りが、泥に足を取られてなかなか動けず難儀している状態を詠んだ句。「こんなにも重きこと」だと句の趣は一変する。足取りが重いというのは成句になるから平凡。「長きこと」と、重さを長さに転じたところに発見とウィットがある。蓮田を見ているとあんなところに入って蓮根を採るのは大変というか割の合わない仕事に見えるが、それなりに採算が合っているからつづけているのだろう。田の仕事などが機械化した中で、蓮根堀りも今は機械の仕事になっているのだろうか。以前のままなのだろうか。同じ作者に「着ぶくれし身をつらぬいて足二本」もある。こちらの方はモコモコに膨らんだ体を支えている足を客観視している。『花神現代俳句・今瀬剛一』所収(1996)所収。(今井 聖)
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