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20100108句(前日までの二句を含む)

January 0812010

 冬灯金芝河の妻のまろき額

                           山下知津子

書きに、金芝河(キム・ジハ)初来日記念公演 パンソリ「五賊」、とある。「五賊」は金氏が1970年に当時の韓国の朴正熙大統領を風刺して書いた長編詩。金氏はこの詩がもとで反共法分子として逮捕される。その後も一貫して反政府運動をつづけ、一時は死刑判決を受けるが屈せず国際的な政府非難の中で釈放を勝ち取る。その詩を韓国の口承芸能「パンソリ」で公演したものを作者は観に行った。そのときの感動を詠んだものである。作者は公演に来ていた金氏の妻の容貌に着目する。これが夫の過酷な闘争を支えた妻だ。歴史の表に出る存在を支えた同伴者の存在がある。ドラマは往々にしてその視点から描くことで中心人物がより鮮明になる。龍馬の愛人、啄木の妻、子規の妹、周恩来の妻等々。内助の功などという世俗的な括りを超えて、社会正義への信念から自己犠牲をも厭わない存在に賭ける存在。それもまた自己犠牲の覚悟に基づいている。しかしその顔は険しい顔ではなく、円満な額を持つ顔であった。そこに作者の驚きと安堵がある。『髪膚』(2002)所収。(今井 聖)




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