暦を見る頻度が増してきた。見たって何がどうなるわけでもないけれど。(哲




20091211句(前日までの二句を含む)

December 11122009

 まつくろに枯れて何かの実なりけり

                           高田正子

七の語句「何かの」の力の抜き加減。「なりけり」の流し方。「枯れて」は状態の知的把握だし季語だから伝統派の立場では、句の大前提のようなものだ。季語に続いている句の後半は力が抜けているので「まつくろ」だけがこの句の眼目。上五だけが強調されることで、句は成功している。副詞が句の中心にすわる珍しい例だ。ところで、「なりけり」は一応断定ということになるのだろうが、それほどの強調的意味を持たないので仮に取ってしまうと「まつくろに枯れて何かの実」。このままで自由律の句になりそうだが、自由律なら「何かの実まつくろに枯れ」くらいにするかもしれない。でもそう考えると「なりけり」の効果が確認できる。やはりあった方がいい。リズム中心の「なりけり」が素朴な眼差しをうしろから支えている。「角川俳句年鑑」(2010年版)所載。(今井 聖)




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