目覚めて晴れていると気持ちがそわそわ。撮影に行きたくなる。病膏肓。(哲




20091207句(前日までの二句を含む)

December 07122009

 残像なお増殖止まず開戦日

                           的野 雄

日12月8日(1941年・日本時間)は大東亜戦争(当時の日本政府による呼び方)の開戦日。「ああ」と感慨を抱くのは、既に物心のついていた七十代半ば以降の人たちだろう。私はまだ三歳だったので、何も覚えてはいない。この日から、日本は、いや世界は、泥沼の道に入った。作者の脳裏に去来する「残像」はどんなものなのだろうか。むろん、一言では尽くせまい。大きく変わった身内の運命。知り合いの人の運命。なによりも口惜しいのは、戦争さえなければ死ななくてもよかった人たちの死である。若く元気だった人たちの顔が、いまでも目に浮かぶ。同時に、当時の暮らしぶりや山川の風景、そしてその後の自身を含めて翻弄されつづけた生活のありようなど。残像はとめどなく明滅し、止むことがない。言っても甲斐なきことなどは承知でも、なおこう詠まずにはいられない作者の気持ちが、私などにはよくわかる。現在沖縄基地問題をめぐって、鳩山政権が苦しがっているようだ。しかし、そんな苦しみは、あの日を生身で体験した人々のそれに比べれば屁みたいなものである。たとえ無責任なマスコミに八方美人的と言われようとも、問題解決を焦ることはない。じっくりと腰をすえて、百年の大計を練るべきである。『円宙』(2009)所収。(清水哲男)




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