November 272009
出雲発最終便の咳の人
鈴木鷹夫
世間では神無月が出雲では神在月。旧暦十月十一日から十七日まで出雲で開かれる会議に出席された神々は十八日に「神等去出」(からさで)祭に送られて元の国々にお帰りになる。咳をしている最終便の人はひょっとしたら最後に帰る神さまかもしれない。「出雲」という地名がどういう効果をもたらすか、作者は十分に計算し尽くして用いている。詩人としての才を感じさせるのはこういうところだ。「俳句研究年鑑」(2003)所載。(今井 聖)
『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます
|