November 262009
白菜のうちがわにいるお母さん
小枝恵美子
寒くなって白菜がおいしい季節になった。二つに裂いた白菜を大きな樽や甕いっぱいに漬けこんでいくのは日本でも韓国でも一家の主婦が中心になってする仕事。日差しのあふれる冬の午後、日に当てるべく白菜を自分のまわりにいっぱいに並べて干しているお母さんがいる。「うちがわ」という表現はそんな場所とともに、白菜を食べたときじわった染み出すうまみに母を感じることも含まれるのかもしれない。白菜や大根を漬けるだけの場所も余裕もない都会とは違って、地方の庭先や納屋の手前では今日もうずたかく積まれた白菜をいくつもいくつも並べてせっせと働いているお母さんがいるに違いない。掲句を読んでおいしい白菜漬が食べたくなった。「白葱がねむいねむいと煮えている」「恋人は美人だけれどブロッコリー」など句集にはおいしそう、かつユニークな冬野菜が並んでいる。『ベイサイド』(2009)所収。(三宅やよい)
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