水の江滝子逝く、94歳。楽屋口水の江滝子ジャケツきて(星野立子・昭9)。(哲




20091122句(前日までの二句を含む)

November 22112009

 くさめして我はふたりに分れけり

                           阿部青鞋

あ、こういう見方もあるんだなと、感心しながら本日の句を読んでいました。クシャミというもの、あらためて考えてみれば、たしかに奇妙なものです。体を二つに折り曲げて、自分が破裂するように出てくるものなんて、ほかには思いあたりません。だからでしょうか、俳句だけではなく、現代詩の中でも時折登場します。長い詩の最後に、大きな空の下でクシュンとすれば、不思議な余韻が生み出され、どことなく孤独感や切なさをかもし出します。今日の句も、なかなか印象的です。クシャミの衝撃で、自分が二人にはがれたと書いてあります。アップルパイでもあるまいに、クシャミひとつでそう簡単にはがれてはたまりませんが、もちろんここは理屈ではなく。分かれたふたりが、あわててひとつに戻る姿でも思い浮かべながら、楽しく読んでいればよいのでしょう。『日本名句集成』(1992・學燈社)所載。(松下育男)




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