November 202009
冬帽子脱ぎおけば灯にあたたまる
上野さち子
蛍光灯でも電球でもいい。最近は暑くならない灯火もあるらしいが、よく知らない。夏は電球の暑さでさえ不愉快だが冬はその温熱で心までほのぼのと感じられる。外を歩いてきてすっかり冷たくなった冬帽が灯火の熱を受けてしだいに暖かくなる。それは体感というより気持ちの問題だろう。作者没年の作品であることを考えると、冷えた冬帽が作者の人生に見えてくる。最後にあたたかさに出会えたやすらぎを思う。「俳句年鑑」(2002)所載。(今井 聖)
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