November 192009
縄跳びの入口探す小春かな
河野けいこ
小学生のころ休み時間になるたび教室の戸口の脇にぶら下げてある大縄を持って校庭へ駆けだしたものだ。今の学校でも運動会などで大縄跳びが学年対抗の種目になっているところも多いのか、クラス全員揃って跳んでいる姿をときどき目にする。それにしても「お嬢さん、おはいんなさい」と歌で誘われても回る大縄へ横から滑り込むタイミングはなかなか難しい。身体でリズムをとりながらひょいと入らないと縄をひっかけてしまう。なんせ中で友達が3人4人跳びながら待っているのだから中断させるわけにはいかない。ヒュンヒュンと地面を打って縄を回す音が間近になり、一瞬をねらってとび込む緊張感。ああ、そういえばあれは縄跳びの入口を探していたのかもしれない。やわらかな小春日和の中でタイミングをうかがってまだとび込めずにいる子を見かけたら「あそこに入口があるよ」そっと教えてあげよう。『ランナー』(2009)所収。(三宅やよい)
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