昼食から戻るサラリーマン。日本橋辺りでは昼食代も馬鹿にならないだろう。(哲




20091112句(前日までの二句を含む)

November 12112009

 拾ひたる温き土くれ七五三

                           山西雅子

うすぐ七五三。近くの神社で晴れやかな着物にぼっくり下駄で歩く女の子や、ちっちゃな背広に臙脂のネクタイをしめた男の子と会えるかもしれない。普段は身軽な格好であちこちを飛び回っている子供たち、最初は嬉しくても着なれない衣装の窮屈さにだんだん不機嫌になることも多い。神主さんのお祓いまでの順番待ちや記念撮影の準備など、こうした祝い事には待ち時間がつきものだ。晴れ着を着た子が手持無沙汰に日向にかがみこんで足元の土を手でいじっている。おとなに手をひかれあちこち歩いて草臥れてしまったのだろうか。七五三と言えば、晴れ着姿や千歳飴に目がいきがちだけど、日溜りにしゃがみこんだ子供が手にすくった土くれの温もりは何気ない動作を背後から見守るやさしい親のまなざしにも通じる。神社に降り注ぐ小春の日差しに佇む親とその膝元にしゃがむ幼子。子の成長を寿ぐ特別な日の親子のひとときが映像となって浮かびあがってくる。『沙鴎』(2009)所収。(三宅やよい)




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