レヴィ=ストロース逝く。若い頃に読みさしたままの『悲しき熱帯』を探す。(哲




20091105句(前日までの二句を含む)

November 05112009

 巻き貝からのりだす羊富士新雪

                           竹中 宏

週のはじめよりぐっと気温が下がり冬めいてきた。札幌からは初雪の報が届いた。関東ではさすがに雪はまだだが、遠くに臨む富士山は白い雪をかぶっている。東京で見る富士は裾野の部分は隠れて空中に白く雪をかぶった山頂が浮いているように見える。掲句では羊の白さと冠雪をダブらせているのだろう。くるりと巻いた巻き貝から羊がのりだす絵柄は不思議かつユーモラス。それぞれの言葉が紡ぎだすイメージに読み手を立ち止まらせつつ次元の違う世界の手触りを紡ぎだすことが句の狙いなのだろう。句集には最大限に読み手の想像力を見積もった言葉の連鎖で綴られた句が並び読み解くのは難しい。こういう句はあらかじめ落とし所をきめて作られる句とは違い、おそらくは作者も言葉を探り当てながら進んでいく。どこで完成を見切るかが作り手の技といえるかもしれない。『アナモルフォーズ』(2003)所収。(三宅やよい)




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