コンテナ船護衛艦の針路にはみ出す。船は「進路」ではなく「針路」か。(哲




20091029句(前日までの二句を含む)

October 29102009

 ブラジルは世界の田舎むかご飯

                           佐藤念腹

かごは自然薯のつるにつく小さな肉芽。指の先ほどの丸い実をご飯に炊き込むとむかご飯になる。虚子の「季寄せ」を何気なくめくっているうち、オリンピック開催で話題のブラジルとむかご飯との取り合わせに目がとまり、新鮮な驚きを感じた。新潟出身の念腹(ねんぷく)は1913年にブラジルへ移住した。戦前は長男が家督のすべてを継ぐ慣わしだったから農家の次男、三男は故郷を出て新天地を切り開くしかなかった。彼もまた大農家になることを夢見て「世界の田舎」であるブラジルへ人生を賭けて渡り、未開の原野を切り拓いていったのだろう。つましい食卓に出された芋はむかごなのか、むかごに似た現地の芋なのかはわからないが、ブラジルの「むかご飯」に日本への望郷の思いをかぶせている。彼の地で農業に俳句に力を尽くした念腹の地元新潟には掲句の句碑が建てられているそうだ。「虚子季寄せ」三省堂(1940)所載。(三宅やよい)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます