October 13 2009
月入るや人を探しに行くやうに
森賀まり
太陽がはっきりした明るさを伴って日没するのと違い、月の退場は実にあいまいである。日の出とともに月は地平線に消えているものとばかり思っていた時期もあり、昼間青空に半分身を透かせるようにして浮かぶ白い月を理解するまで相当頭を悩ませた。月の出時間というものをあらためて見てみると毎日50分ずつ遅れており、またまったく出ない日もあったりで、律儀な日の出と比べずいぶん気ままにも思えてくる。実際、太陽は月の400倍も大きく、400倍も遠いところにあるのだから、同じ天体にあるものとしてひとまとめに見てしまうこと自体乱暴な話しなのだが、どうしても昼は太陽、夜は月、というような存在で比較してしまう。太陽が次の出番を待つ国へと堅実に働きに行っている留守を、月が勤めているわけではない。月はもっと自由に地球と関係を持っているのだ。本日の月の入りは午後2時。輝きを控えた月が、そっと誰かを追うように地平線に消えていく。〈道の先夜になりゆく落葉かな〉〈思うより深くて春のにはたづみ〉『瞬く』(2009)所収。(土肥あき子)
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