September 26 2009
秋澄めり父と母との身長差
川嶋一美
夏らしい夏がなかったと言われる今年。秋も短くてすぐ冬になるらしい、などという噂も聞く。それでも、このところ晴れると空が高く、ついぼーっと見上げてしまう。ここ数年、秋晴れの朝の通勤途中、歩きながら車窓の景色を見ながら、この日差しの感じってどう詠めばいいのかな、とずっと思っていた。確かに眩しくて強いのだけれど、どこかすべてが遠い記憶の中のような秋日。その感じを句にしかけるのだが、どうもうまくいかない。そんな時この句に出会った。浮かんだのは、並んで歩く二人の後ろ姿。秋日の中のその姿は、現実なのか、記憶の中なのか。いずれにしても、私の中のもやもやとした秋日のイメージを、身長差、という言葉が鮮やかに立ち上げてくれた。秋澄む、という言葉が、透明感を越えた何かを感じさせてくれたのは、父と母との身長差、の具体性とそこにある作者の確かな視線ゆえなのだろう。「空の素顔」(2009)所収。(今井肖子)
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