July 31 2009
残暑とはショートパンツの老人よ
星野立子
老人にステテコは当たり前だが、ショートパンツとはさすがに客観写生の優等生である。ショートパンツの老人は現在の「花鳥諷詠派」の人たちでは出てこない表現だろう。古い情緒に適合しないからだ。俳句的情緒からいくと老人には着物つまり羅や白地。下着ならステテコや褌と取り合わせる俳人が多い。褌は「たふさぎ」などと古い読みを出してきて俳諧を気取る風潮もある。こんなのはみんな古い風流感の上に乗った陳腐なダンディズムだ。ショートパンツから皺だらけのやつれた肢が出ている。なんともみっともないこの肢こそが残暑の象徴だと作者は言っている。虚子は娘立子の素直さ、屈託の無さを最大限に評価した。意地悪な僕は女性の「育ちの良さ」ポーズや「屈託の無さ」仕種を簡単には信じないが、こんな句を見ると虚子の評価を肯わざるを得ない。『実生』(1957)所収。(今井 聖)
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