相変わらずついたり消えたりのカウンター。安いサーバーだけのことはある。(哲




20090625句(前日までの二句を含む)

June 2562009

 夏座敷父はともだちがいない

                           こしのゆみこ

年梅雨が終わると、祖母は座敷の襖を取り払って簾を吊り下げた。すっかり片づいた座敷の真ん中を涼しい風がさぁっと吹き抜けてゆくのはいかにも夏らしくて気持ちがよかった。夏座敷や打ち水といった季節の風物と縁遠いマンション暮らしの今は、思い出のなかにある風景を懐かしんでいる。そんな夏座敷の真ん中に父が一人で座っている。「父は」と言っているところからそれぞれに友達がいるほかの家族と比べているのだろう。おしゃべりな母はご近所の人たちと、かしましい娘たちも友達とたわいもない話に興じながら日々を暮らしているのかもしれない。寡黙な父はそれを羨むでもなく、一人でひっそり静かな日常を過ごしているのだろう。風通しの良い夏座敷が父の孤独をくっきりと印象付けている。「昼寝する父に睫のありにけり」「蜻蛉にまざっていたる父の顔」など、家族の中で少し寂しげだけど、かけがえのない父の姿を愛情を持って描き出している。『コイツァンの猫』(2009)所収。(三宅やよい)




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