June 12 2009
柿の花こぼれて久し石の上
高浜虚子
あの小さな柿の花がこぼれて落ちて石の上に乗っている。いつまでも乗っている。「写生」という方法が示すものは、そこから「永遠」が感じられるということが最大の特徴だと僕は思っている。永遠を感じさせるカットというのはそれを見出した人の眼が感じられることが第一条件。つまり「私」が見たんですよという主張が有ること。第二にそこにそれが在ることの不思議が思われること。これが難しい。川端茅舎の「金剛の露ひとつぶや石の上」は見事な句と思うが露の完璧な形とその危うさ、また露と石の質感の対比に驚きの目が行くために露がそこに在ることの不思議さとは少し道筋が違う気がする。それはそれでもちろん一級の写生句だとは言えようが。どこにでもある柿の花が平凡な路傍の石の上に落ちていつまでもそこにある。この句を見るたび、見るかぎり、柿の花は永遠にそこに在るのだ。『ホトトギス季題便覧』(2001)所収。(今井 聖)
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