日銀景気判断「大幅に悪化」から「悪化を続けている」。これで上方修正かあ。(哲




20090523句(前日までの二句を含む)

May 2352009

 万緑のひとつの幹へ近づきぬ

                           櫻井博道

京の緑を見て万緑を詠んじゃいけないよ、と言われたことがある。万の緑、見渡す限りの緑であるから、まあ確かにそうなのかもしれない。それでも、時々訪れる目黒の自然教育園など夏場は、これが都心かと思うほどの茂りである。どこかの島の、圧倒的な緑の森に迷い込んだような錯覚に陥りながら歩いていると、星野立子の〈恐ろしき緑の中に入りて染まらん〉の句を思い出す。「万緑」は、それだけで強い力を感じる言葉なので確かに、万緑や、などと言ってしまうと後が続かなくてただぼーっとしてしまって、なかなか一句になりにくい。そんな万緑も、大地に根を張った確かな一本一本の木からできている。森を来た作者の視線の先には今、一本の大樹の太い幹があるばかりだが、読者には、作者が分け入ってきた、それこそ万の緑がありありと見えてくる。ひとつの、の措辞が、万に負けない力を感じさせる。『図説俳句大歳時記 夏』(1964・角川書店)所載。(今井肖子)




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