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20090509句(前日までの二句を含む)

May 0952009

 言葉にて受けし傷膿む薔薇の苑

                           寺井谷子

が、いただいた鉢植えの薔薇を、ほんの1平方メートルほどの玄関先の植え込みに移したのが一昨年。水やり以外特に手入れもしていないというが、ずっと咲き続けている。花弁は緑がかった淡黄色、中心はほのと薄紅色を巻きこんでいるが、開くと緑が勝つ。小ぶりで、雨が降ると少し香り、どこかそっけない不思議な野性味を感じさせる薔薇だ。今年もいよいよ盛りとなってきたそんな薔薇を、朝な夕な見つつ掲出句に出会った。苑に咲くこの句の薔薇は、圧倒的な深紅だろう。果実のような色と香りに、思いがけずよみがえる痛み。突き刺さった言葉の棘をそっとぬいて傷口をなめて、深く閉じ込めてしまったはずの痛みだ。上手に忘れたはずなのに、思いがけないきっかけで、ありありとよみがえる記憶にやりきれない心持ちになることがある。忘れることは、生きていくためにもっとも必要な能力のひとつだけれど、記憶をコントロールすることは難しい。傷は治ったわけじゃない、深いところで膿んでいるのだ、と言葉にする強さを持つ作者の、大輪の薔薇のように凛とした姿が思われる。『笑窪』(1986)所収。(今井肖子)




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