毒物カレー事件。裁判員制度の下での裁判だったら判決はどうなっただろう。(哲




20090423句(前日までの二句を含む)

April 2342009

 珈琲や湖へ大きな春の虹

                           星野麥丘人

琲は作者自身によってブラックとルビが振ってある。珈琲(ブラック)や、と濃く熱く入れた飲み物に詠嘆しているわけで、しかも珈琲を飲んでいる眼前の湖に淡く大きな虹がかかっている。阿部青鞋に「天国へブラック珈琲飲んでから」という句があったように思うが、この句は青鞋の思いに答えたかのような色合いである。春の虹は夏の虹に比べると色も淡く、たちまちのうちに消えてしまう性質を持っているようだが、それだけに美しく名残惜しいものだろう。ゆっくりと珈琲を飲み終わるころには虹は失せて、すっかり元の光景に戻っているのかもしれない。麥丘人(ばくきゅうじん)の句は事実だけを述べているようで、なんともいえない老年の艶のようなものがあり、この句も口に入れると淡々と解ける和菓子のような味わいだ。日々の生活に追われるなかで麥丘人の句を読むと肩の力がほんの少し抜けるような気がする。『燕雀』(1999)所収。(三宅やよい)




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