明け初めてくると鳥たちが鳴きはじめる。あれは単に空腹のせいだそうです。(哲




20090410句(前日までの二句を含む)

April 1042009

 からうじて鶯餅のかたちせる

                           桂 信子

餅が色のみならず形も鶯に似せているということを初めて知った。あの餅のかたちのどこが似てるんじゃと驚いたが、こういう句をみるとわが意を得たりである。「いづれが尾いづれが嘴やうぐひす餅 矢島久栄」という句もあるから同じことを思った人もいるのだろう。この句の一番の特徴は副詞の使い方にある。「少し」「やうやく」「たまさか」などの副詞は擬音、擬態語と並んで常套的な用い方をすれば陳腐な情緒を押し出す働きをする。この句の「からうじて」は鶯餅というものの形状の特徴を見事に捉えている。花神コレクション『桂信子』(1992)所収。(今井 聖)




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