北朝鮮の「衛星運搬ロケット」発射実験。失敗して日本に落ちる確率は?(哲




20090315句(前日までの二句を含む)

March 1532009

 三月の風人買いのやさしさで

                           穴井 太

うまでもなく「三月の風」と「やさしさ」は素直に結びつきます。みなに待たれている季節を運んでくるものとして、この組み合わせになんら問題はありません。しかし、それだけではもちろん人の心を打つ句にはなりません。だれでもがあたりまえに頷いてしまうものではだめなのです。いったんは「あれ?」と思わせて、それからのちに、「ああそうなのか」と納得させてくれるもの。そんな都合のよい表現はあるだろうかと、作者は頭を悩ませているのです。で、行き着いたところが 「人買い」だったわけです。たしかに人買いという、おそろしい言葉に優しさは結びつきません。しかし、よく考えてみれば、人をだますための気味の悪い猫なで声は、やさしいといえば言えなくもなく、言うとおりにすれば、一生きれいな着物を着て、おいしいものが食べられるのだと、なんだか耳をかすめる風がささやいているようです。この季節の風を全身で受けとめ、ならばこの風に買われてみようかと、まさか思いはしないけれども。「俳句界」(2009年3月号)所載。(松下育男)




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