杉山正樹氏死去。寺山修司との関係は有名だが「文芸」では私の上司だった。(哲




20090123句(前日までの二句を含む)

January 2312009

 着ぶくれてこの世の瑣事も夕焼す

                           櫻井博道

しくかかわっていることが、ふと瑣事に思えてくることはよくある。人間、糊口をしのがねばならぬのは言わずもがなだけれども、それにかかわらないことにもどれほど意を砕いて日々を送っていることか。「瑣事」ということへの発想は一般的だが、病臥の歳月を重ねた作者が平成三年、六十歳で世を去る前の感慨であることを知ると、「着ぶくれて」に現在只今の「生」の実感が込められ、「夕焼」にこの世への賛歌やエールが贈られているように思う。「こんなつまらないことにかかずらっている」という否定的な自覚ではなくて、「この世の瑣事」に没頭できる時間と存在への肯定である。『季語別櫻井博道全句集』(2009)所収。(今井 聖)




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