立冬。ん、まだ野球やってるの。来年の阪神はこう言われてみたいものです。(哲




20081107句(前日までの二句を含む)

November 07112008

 月の庭子の寝しあとの子守唄

                           上村占魚

人公は、母であり妻である女性ととるのがふつうだろう。庭で子守唄を唄っている。背中に子がいなければ庭に出る理由が希薄なので、これは子守のときの情景である。子は首を垂れてすっかり寝落ちているのに、母はそれに気づいていても唄をやめない。寝てしまったあとも続いている子守唄は母というものの優しさの象徴だ。月、庭、子、寝、子守唄。素材としての組み合わせを考えると、どうみても陳腐にしか仕上がらないようなイメージの中で、「寝しあとの」でちゃんと「作品」に仕上げてくるのは、技術もあるが、従来の情緒のなぞりだけでは詩にならぬとの思いがあるからだ。無条件な愛。過剰なほど溢れ出る愛。この句のテーマは「母」あるいは「母の愛」。季題「月」は背景としての小道具。『鮎』(1992)所収。(今井 聖)




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