例によってタイガースは先手を取られすぎ。まあ、今年の持ち味ではあるけれど。(哲




20080920句(前日までの二句を含む)

September 2092008

 馬鈴薯の顔で馬鈴薯堀り通す

                           永田耕衣

本では、縄文時代からあったという里芋に比べると、歴史の浅い馬鈴薯(じゃがいも)だが、今や最もポピュラーな「いも」といえるのではないだろうか。馬鈴薯といえば北海道、原産地といわれるアンデス地方に気候が似ているのだというが、そういえば、インカの目覚め、とか、アンデスレッド、などという品種を見かけることがある。今ちょうど家にあった男爵を手にとってみる。産地は夕張、ごつごつとして、指に大地の乾いた土が付く。その馬鈴薯を掘り通す、しかも馬鈴薯の顔で。一途で力強い表現に惹かれながら、開拓民がジャガイモのすいとんを食べる、という話を何かで読んだことを思い出す。現在の北海道の豊かな実りにたどり着くまでの開拓者の苦労は、推して知るべしだろう。そう思うと、馬鈴薯というひとつの自然の産物の持つ力によって、この句から、人間の生き抜く力がいくばくかの悲しみを伴って迫ってくる。馬鈴薯の句、人間の句。『俳句歳時記 第四版 秋』(2007・角川学芸出版)所載。(今井肖子)




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