久しぶりの金子兜太さん。「あなたの身体は70代前半」と医者に言われたと。(哲




20080228句(前日までの二句を含む)

February 2822008

 椿落ちて椿のほかはみなぶるー

                           小宅容義

の春と呼ばれる二月の空は明るく、それでいて冬の冷たさをとどめた美しい色をしている。真っ赤な椿が地面に落ちたあと、椿を見ていた視線を空に移したのか、それとも水際にある枝から水面へ花が落ちたのか。作者の目に青が大きく広がる。ついさっきまで咲き誇っていた花が何の前触れもなく首ごともげて地面に落ちる。その突然の散り方が、椿が落ちたあとの空白を際立たせる。散る椿に視点を置いて詠まれた句は多いが椿が散ったあとの空白を色で表現した句はあまりないように思う。ブルーではなく「ぶるー」と平仮名で表記したことで今までに自分が見た水色が、空色がつぎつぎ湧き上がってくる。ヘブンリー・ブルー、ウルトラマリン、群青色、などなど、どの「ぶるー」が赤い椿に似合うだろうか。それとも「ぶるー」は色ではなく椿を見ている人の気分だろうか。いったん緩んだ寒気がぶり返したこの頃だとぶるっとくる、体感的な寒さも思われる。リフレインの音のよろしさと最後のひらがなの表記が楽しい。作者は大正15年生まれ。「鴨落ちて宙にとどまる飛ぶかたち」「新らしきほのほ焚火のなかに淡し」など時間の推移を対象に詠みこんだ句に魅力を感じた。『火男』(1980)所収。(三宅やよい)




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