February 14 2008
バレンタインデーカクテルは傘さして
黛まどか
女の子から好きな男の子へチョコを贈るこの日が日本に定着したのはいつからだろう?昭和40年代の後半あたりから菓子売り場にバレンタインコーナーができたように記憶しているが、どうなのだろう。私も一度意を決して片思いの彼にチョコをプレゼントしようとしたけど、手渡す機会がなくて結局自分で食べてしまった。以来バレンタインチョコが売り出されるたび自分のドン臭さが思い出されて少し哀しい。掲句、どこに切れを入れて読むかでいろんな場面が想像される。バレンタインデーカクテルはチョコレートリキュールをベースに作られた甘いカクテル。華やかな洋酒の瓶の並ぶバーのカウンターでカチンとグラスを合わせてバレンタインの夜を楽しんでいる二人、しかしそう考えると「傘さして」がわからない。屋台じゃあるまいし傘をさしながらカクテルを飲むわけはないし、カクテルのストロー飾りに傘がついているのだろうか。それとも洋酒入りのカクテルチョコレートを相合傘の彼に差し出した屋外の情景なのかも。謎めいた名詞の並びが色とりどりのバレンタインシーンを思わせる。今日は寒くなりそうだけど、鞄の底にチョコレートを忍ばせて出かけた女の子たちにとってよい日でありますように。「季語集」岩波新書(2006)所載。(三宅やよい)
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