February 07 2008
少女まづ瞳の老いて雪まつり
櫂未知子
札幌。と前書きがある。2月5日より始まったかの地の雪まつりは例年1月7日から雪の搬入が始まるそうだ。郊外から5トントラック6500台分の雪を大通り公園に運んで雪像を作るという。およそ1ヶ月間、札幌市民は運び込まれた大量の雪が雪像になってゆく過程を眼にするわけだ。札幌は大きな街で一区画の距離も長い。雪像を見て歩くだけで相当歩くことになるだろう。雪になれない観光客のために靴底につける滑り止めも売られていると聞く。この句では雪像を見上げる少女の生真面目な表情が印象的だ。少女の年齢はどのくらいなのだろう。小学五、六年になると男の子より一足先に女の子の身体が生育してゆく。表情もませてきて、教室でふざけすぎて先生から雷を落とされる男子を「ばかねぇ」と冷ややかに見ているのはたいてい女の子である。彼女らが男子を尻目に子供時代を一足先に抜け出るのはこの頃から生理が始まり自らの性を自覚させられることも大きいだろう。身体の秘密が彼女らを大人びさせる。掲句では少女の瞳が老いる。という意外な形容で、少女のまなざしに不思議な光を宿している。雪ばかり見つめているとまず瞳が老いる、と逆の因果関係からも読めてしまいそうだ。静かに佇む少女の黒目勝ちな瞳にうつる雪まつりはきっと、この世のものではない雰囲気を漂わせていることだろう。俳誌「里」(2006/3/09発行第36号)所載。(三宅やよい)
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