対米英開戦の日(1941)、ジョン・レノンが撃たれた日(1980)。今日はどうかな。(哲




20071208句(前日までの二句を含む)

December 08122007

 見て居れば石が千鳥となりてとぶ

                           西山泊雲

鳥は、その鳴き声の印象などから、古くから詩歌の世界では、冬のわびしさと共に詠まれ、冬季となっている。しかし実際には、夏鳥や留鳥のほか、春と秋、日本を通過するだけの種類もいるという。海辺で千鳥が群れ立つのを見たことがある。左から右へ飛び立ち、それがまた左へ旋回する時、濃い灰褐色から白に、いっせいにひるがえる様はそれは美しかった。この句の千鳥は川千鳥か。作者が見て居たのは河原、そこに千鳥がいることを、あまり意識していなかったのかもしれない。突然、いっせいに飛び立った千鳥の群、本当に河原の石が千鳥となって、飛び立ったように見えたのだろう。句意はそうなのだろうと思いつつ、なんとなく、意識が石へ向いてしまった。子供の頃、生きているのは動物だけじゃないのですよ、草も木もみんな生きているのです、と言われ、じゃあ石は?と思ったけれど聞けなかった。生命は石から誕生し最後には石に還る、という伝説もあるという。半永久的な存在である石が、千鳥となって儚い命を持つことは、石にとって幸せなんだろうか、などと思いつつ、ふっと石が千鳥に変わる瞬間を思い描いてみたりもするのだった。「泊雲」所収。(今井肖子)




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