猛暑がつづいていますね。しかし、見上げれば雲がだんだんと秋のかたちに。(哲




20070810句(前日までの二句を含む)

August 1082007

 うつくしや雲一つなき土用空

                           小林一茶

心者だった頃は俳句に形容詞を使わないようにと指導される。悲しい、うれしい、楽しい、美しい。言いたいけれども、言ってはいけない。固く心に決めてこれらの語には封印をする。嫌うからには徹底的に嫌って、悪役扱いまでする。これが、どうにかベテランと言われる年代に来ると、この河豚の肝が食べてみたくなる。心情を自ら説明する修飾語を使うというハンデを乗り越えて、否、その欠点を逆手にとって、満塁ホームランを打ってみたくなる。一茶には「うつくしや障子の穴の天の川」もある。二句とも平明、素朴な庶民感覚に溢れていて良い句だ。「雁や残るものみな美しき」これは石田波郷。去るものと残るものを対比させ、去るものの立場から見ている。複雑な心情だ。雲一つない空の美しさは現代人が忘れてしまったもの。都市部はむろんのこと、農村部だって、アスファルトも電柱もなく軒も低い昔の空の美しさとは比較にならない。今住んでいる横浜から、定期的に浜松に行っているが、行くたびに霧が晴れたように風景がよく見える。最初気のせいかと思ったが、毎回実感するので、実際そうなのだろう。いかに都市の空気が汚染されているかがわかる。失われた空の高さ、青さを思わせてくれる「うつくしや」だ。平凡社『ポケット俳句歳時記』(1981)所載。(今井 聖)




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