また喫煙発覚の元「モー娘。」メンバー、契約解消。息苦しい世の中ですなあ。(哲




20070327句(前日までの二句を含む)

March 2732007

 あふむくやはるおほぞらのうつぶせに

                           柚木紀子

年、手書きの機会はめっきり減っているが、どうしても書き取りたいと思わせる句がある。作者と同じ字面をなぞることで、身体のすみずみまでしっかりゆきわたる感触を味わうことができるからだ。掲句も丹念に書き写し、その景を存分に堪能した一句だ。大地に仰向きで寝転び、無防備に両手両足を投げ出すとき、まるで青空がうつぶせになって覆い被さってくるようだと思う。唇のかたちの春の雲がやわらかに流れ、風が髪をなぶり、陽が頬を撫でる。ああ、今、春の空に誘われているのだと気づく。なんと優雅になんと雄々しい誘惑だろう。空を「うつぶせ」にしたことによって命を与え、ある種の異類婚姻譚を感じさせる。ギリシャ神話でゼウスは黄金の雨に姿を変え、ダナエの元に訪れ、身ごもらせたのだった。明日からなにもかもが変わってしまうような予感に揺さぶられながら、作者もまたためらうことなく二本の腕を大空に向かって差し出すのだろう。青空としなやかな白い腕とのコントラストが息を飲むような美しさで迫ってくる。『ミスティカ』(2004)所収。(土肥あき子)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます