ついに六十代最後の誕生日。「俺たち60まで生きられるかなあ」と小学校の教室で……。(哲




20070215句(前日までの二句を含む)

February 1522007

 薄氷をひらりと飛んで不登校

                           清水哲男

水さん、お誕生日おめでとうございます。一年に一度、清水さんの自句自解を毎年とても楽しみにしていたのですが、残念ながら今日は木曜日(笑)。後日の自句自解を期待して私の好きな清水さんの句を採り上げさせていただきます。薄氷(うすらい)は寒気のもどりに薄々と張る氷。「はくひょう」と読めば、極めて危険な状況にのぞむ「薄氷をふむ」へと繋がってゆきます。季語の「うすらい」とともに、その意も踏まえられているのでしょうね。学校へ行ってもクラスになじめない。いじめやからかいも怖い。そんな重苦しい思いを抱えたまま登校して自分を追い込むより、ひらりと身をかわして好きな場所を見つけなよ。と掲句は「不登校のススメ」のように思えます。清水さんは学校がきらいだったようで「十数年前、娘の学校のPTA役員をおおせつかったときも、会合のための教室へ入ったとたん吐き気をもよおしたほどだ」(『現代詩つれづれ草』より引用)と、書き留めていらっしゃいます。そういえば、公立学校は黒板の位置。天井の蛍光灯の明るさ、教卓の高さにいたるまで文部省の通達で決められているらしいですね。そんなに学校が嫌だったのに一日も休まなかったとか。負けん気の強い清水さんのこと。嫌いだからこそ意地でも通い続けたのかもしれませんね。去年から学校をめぐる暗いニュースが続いています。学校が世知辛い場所になればなるほど、清水さんのこの句が優しい呼びかけのように思えます。『打つや太鼓』(2003)所収。(三宅やよい)




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