ケータイが一億二千万台も。つまり、一人に一台。持っていない私は希少価値人、へへ。(哲




20070209句(前日までの二句を含む)

February 0922007

 一本の白毛おそろし冬の鵙

                           桂 信子

の鵙の叫びの鋭さを思えば、この「おそろし」はまさに深刻な事態だ。白毛(しらが)は老化の兆し。気持ちの良いものではないが、男性は女性ほど気にしない。「おそろし」の感じはまさに女性の感覚だろう。男ならさしずめ「抜毛おそろし」だろうか。大方が「おそろし」と感じる部分を逆にファッショナブルに転ずることができれば最高のおしゃれかも知れない。ハゲ頭の似合うカッコいい男性や、白髪が美しい女性。前者としては古くはユル・ブリンナー、ショーン・コネリー。最近のブルース・ウィルス。日本の俳優では渡辺謙や西村雅彦などをすぐに思いつく。後者はあまり思い出せないが、市川房江さんなんか清廉なイメージの中心にあの白髪があったな。過日、吉田拓郎のコンサートの映像を見たとき、客の中に多くのハゲ頭を見出した。拓郎自身かなり額が上がってきていて、それを気にせず舞台に立っている姿に客は自身を重ねて感動するのだろう。そういう点からの共感もあるはずだ。老化は、地球の引力の援護も得て、刻一刻と皺を弛ませ肉体を変貌させていく。美しく老いるのは難しいが、「おそろし」とばかりは言っていられない。平畑静塔『戦後秀句2』(1963・春秋社)所載。(今井 聖)




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