阪神も負けないけれど中日も負けない。ということは‥‥。目覚めるのが遅すぎたか。(哲




20061005句(前日までの二句を含む)

October 05102006

 運動会の地面をむしろ多く見る

                           阿部青鞋

の頃は一学期のうちに終えてしまう学校も多いようだが、運動会といえば九月末から十月にかけて行われるのが相場。朝早くから学校に出向いて観客席を確保した経験を持つ人も多いのではないか。茣蓙やビニールシートをコーナーぎりぎりに広げたので、駆けて来る子が勢いあまって観客席に飛び込むハプニングもあった。地べたに座り込んで競技を追う目線を思うと「地面をむしろ多く見る」という捉え方はもっともで、そう言われて初めて土を蹴立てて走ってくる日焼けした脚や、スタートラインに並ぶ運動靴、競技と競技の合間のがらんとしたグラウンドなどが、現実味を帯びた記憶として甦ってくる。運動会を詠むのに運動会の高揚した気分や競技ではなく冷たい地面に着目する。「むしろ」という比較表現でその上に展開している情景を暗黙のうちに立ち上がらせる手腕。青鞋(せいあい)の句は固定観念にとらわれた見方をすっとずらし、在るがままの風景を見せてくれる。「水鳥の食はざるものをわれは食ふ」「ゆびずもう親ゆびらしくたゝかえり」『俳句の魅力』(1995)所載。(三宅やよい)




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