このところ週刊誌づくりに専念。したがって当欄に書くこともなし。昨日とおなじ!!(哲




20060824句(前日までの二句を含む)

August 2482006

 爽かや寝顔に笑顔別に在り

                           池内友次郎

書きに「八月二十八日。偶成。」とある。興が湧いて俳句が自然にできたという意味だろう。「爽か(爽やか)」はすがすがしく快い様子。さっぱりした気分が秋の空気の透明感に似つかわしいので秋の季語になっている。むかし乳母車を押して街に出ると、すれちがう人たちが、実に優しげな顔で赤子に微笑みかけるのを不思議に思っていた。幼子の笑顔は親だけではなく、味気ない日常に黙しがちな大人の清涼剤であるらしい。邪気のない笑顔とはまた別に、無防備に体を広げて熟睡する寝顔も可愛らしいもの。昼の暑さとはうって変わって心地よい初秋の夜、父親が子供の寝顔を見ているうちふっと句が出来たのだろう。昼間の笑顔を見ることは出来なかったけど、寝顔だけでも充分。深夜の帰宅に玄関から子供部屋に入り寝顔を確かめてから着替えだす父親も多いだろう。幼子の笑顔と寝顔にどれだけの力を与えられているか子育ての渦中にいるとなかなかわからない。日常から気持ちをすっと離して子供を見つめる視線にもさわやかさを感じる。虚子の次男、音楽家である友次郎は柔らかな感性で明るくモダンな俳句を残した。『調布まで』(1947)所収。(三宅やよい)




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